Hiroki Mafuyu Blog

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2007年 06月 05日

紙一重_

たまに昔の自分を知る読者の方からメールをいただくことがある
イラストレーターとして仕事をする以前
20代の漫画家時代を知る人達からだ

当然それなりの年齢ということもあるからだろう
穏やかながら的を得た文章
今後の私への提言などを読んでいると正直身に余る思いがする

私の20代は漫画家として自分を商業に乗せることで右往左往した10年だった
これも仕事と思い 気乗りのしない原作付き劇画を描きとばした時期もある
仕事を失うことが怖くて求められれば何でも引き受けた
たまったストレスをバンド活動で撒き散らした
節操などあったものではない
その結果主体性を失い27の頃には完全に行き詰まった
寒くもない季節に歯がガチガチして眠れなかった夜がある
先の見えない不安の極にいた_

18才で漫画デビューして10年が過ぎながら作家として何も残していないことが情けなかった
短編集「K,quarter」の断片になる作品を書き始めたのはその頃で
二・三流誌の片隅に場違いな漫画を描かせて貰った
雑誌の商業概念とは別枠のページをもらったようなものだ
私の漫画を載せたところで本が売れるわけはない
Wa社のM氏、S氏、Ta社のY氏、、、To社のo氏、
侍のような編集者達の心意気に支えられてのことと改めて感謝している
そうして自分を確認することだけを目的に幾つかの短編を描いた
志を持ってベストを尽くしそれで駄目ならしょうがない、
当たり前の指針を取り戻すことからの出直しだった

周囲からは こんなとこで何気負ってんだと露骨に揶揄もされたが気にはならなかった
それだけ追い込まれていたのだろう
自分に作家としてどれだけのことが出来るのか、それだけが興味だった
もう一つ見つけたことは 結果に関わらず自分の創作に夢中になることの快感だった
その状態の時には一切の不安が波立たないことを知った

暫くして今はない小さな出版社からそれらを短編集としてまとめないかという話があった

嬉しかった、
たかだか数千部でも自分にとって初めて作家としての「名刺」が出来たのだ
紙一重で夢が繋がる思いがした、
その頃胸に刻んだことは今も私の物差しとして機能している


情報が多すぎる時代
沢山の雑念が駆けめぐり本質を見つけることは容易ではない
それでも探しあてたテーマに命がけで集中すること以上の幸せはないと思う


自分を見失いそうになると本棚から「K,quarter」を引っ張り出す_


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by hirokimafuyu | 2007-06-05 13:23 | POP ART


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